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~第十九話②~ 絶体絶命の飛鳥

Penulis: 倉橋
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-15 05:01:00

 真宮子は顔中、怒りで真っ赤になり、つりあがった目で飛鳥をにらみつけている。何か言いかけたが、すぐに大きく深呼吸する。内心とは真逆に、余裕ある態度を見せつけてくる。

「ねっ、あやまりなよ。少しペナルティあるけど、なかったことにしてあげるから」

 飛鳥は首を横に振った。

「朝井くんは心が優しくて真面目で成績だってトップクラスのステキな男子だからね。村雨くんなんか、朝井くんにひとつも勝ってない」

 真宮子が一歩、前に出た。

「今の言葉、すぐ後悔するよ。一緒に来て」

 真宮子が飛鳥の手首をつかむ。

「あんた、今日は家に帰れないから。覚えといて」

 フォレスト・キラー・ベアが大きく口を開けて、舌を突き出す。獲物をどう料理するか、考えている表情だった。

「さあ、神宮司さんと一緒に行くんだ」

 雪村も声をかけてくる。犬と一緒の凶悪な人相だ。

「それともここでフォレスト・キラー・ベアと遊びたいか。さあ、どっちにするだ。決めろ」

 駐車場にフォレスト・キラー・ベアの鳴き声が響き渡った。悪魔のような不気味な叫びだった。

 村雨たちの部屋に連れ込まれたらどうなるのか? 飛鳥には見当もつかない。

 だが駐車場には、フォレスト・キラー・ベアが獲物を求めて舌なめずりしている。

 飛鳥は絶体絶命! どうなる、飛鳥!

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